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志村けん

ここでは国民的コメディアン、志村けんの活動について、このブログの趣旨に沿って検証をしたいと思う。

まず、ザ・ドリフターズの人気者になった頃を扱い、次に冠番組のいくつかに触れた後、本人の女性観と濡れ汚しとの関わりの有無を記述したい。

最後に参考資料一覧を挙げる。

「8時だヨ!全員集合」(TBS系)は1969年から1985年まで放映。

毎週土曜夜に公開生放送を行い、前半コント、ゲストによる歌のコーナー、後半コントから構成されていた。

志村けんは1974年荒井注降板の後を埋めるため抜擢され、東村山音頭でブレーク。

前半コントでは水を使ったオチがたびたびあり、志村けんと加藤茶のヒゲダンスではバケツの水をかぶってしまったり、

仲本工事とのジャンケン決闘では、トマトジュースや墨汁を服のなかに流しこまれた。

とはいえ、主にメンバー同士のぶつかり合いであり、高田みづえを除いて、汚されたゲストはほとんどいないのではないだろうか。

「ドリフ大爆笑」(フジテレビ系)は1977年から放映。こちらはスタジオ収録。

さまざまな設定で、メンバーがいろいろな役を演じ分けた。

有名なのはもしものコーナーで、もしも威勢のいい風呂屋があったらというコントでは、銭湯に来たいかりや長介が、ほかの4人から何度もお湯を

ぶつけられ、浴槽に突き落とされたりした。

健康牛乳というコントはほかの番組でもやられたが、有名芸能人役の加藤茶が、監督役の志村けんの演出で何度も牛乳を飲まされてしまう。

ドリフは子供に見せたくないとは、当時のPTAがよく主張していたことだが、それは言葉づかいの乱暴さや食べ物を粗末にする点だけでなく、

人間関係の悪い見本のような番組だから見せたくないというのもあったのだろう。

「志村けんのバカ殿様」(フジテレビ系)は、1986年から今も続く時代劇風コント。

主な出演者は桑野信義、優香、ダチョウ倶楽部で、研ナオコや柄本明といった常連のゲストがいる。

顔を白塗りにした殿様が思いのままに振る舞って、家来や腰元を困らせて面白がるストーリー。

大がかりなセットで水に落ちるオチを使うことがよくある。

「志村けんのだいじょうぶだぁ」(フジテレビ系)は1987年から1993年まで放映。

田代まさし、いしのようこ、松本典子といったレギュラーメンバーと短いコントの応酬を繰り返す。

マンネリとも言えるコントのなかから、変なおじさん、ひとみばあさんなど、愛すべきキャラクターが生まれた。

ゲストの女性歌手やタレントへの水かけやパイ投げは、異常なほどのしつこさで、毎週のようにこのような場面を見られたのは奇跡に近い。

今でも特別番組が放映されるが、コントの質が落ちることはない。

すでに見てきたように、志村けんの芸は本質的にはサディスティックである。

そしてそれは、ザ・ドリフターズという出自から来ている。

田代まさしや上島竜兵といった相手を追いつめて、リアクションを引き出すのが、志村けんのコントの真骨頂といっていい。

そして、根は濡れ汚しフェチではない。

ただ、演出の一つとして、ゲストの女性タレントを水に落としたり、パイをぶつけたりしただけである。

私たちはそれを面白がり、これからもズリネタとして使い続けるだろう。

志村けんは性的にはノーマルであり、高校2年のとき童貞を卒業したことを告白している。

いまだに未婚なのは、同棲相手を妊娠させたり、浮気が原因で別れた相手に財産を半分持っていかれるという痛い目に会ってきたためと思われる。

もしも理解ある伴侶に出会い、子供にも恵まれていたら、共演している若手芸人への接し方も、よほど違っていただろう。


参考資料一覧

書籍
いかりや長介『だめだこりゃ』(新潮社2003年)(新潮文庫)
居作昌果『8時だヨ!全員集合伝説』(双葉社2001年)(双葉文庫)
NHK「わたしはあきらめない」制作班、KTC中央出版『志村けん わたしはあきらめない』(KTC中央出版2003年)
志村けん『変なおじさん完全版』(新潮社2002年)(新潮文庫)
志村けん『志村流』(マガジンハウス2002年)
ラサール石井『笑いの現場』(角川SSコミュニケーションズ2008年)(角川SSC新書)

DVD
「志村けんのだいじょうぶだぁ」(ポニーキャニオン2009年ー2010年)
「志村けんのバカ殿様」(ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン2006年)
「志村けんのバカ殿様」大盤振舞編(ワーナー・ホーム・ビデオ2008年)
「ドリフ大爆笑」(ポニーキャニオン2007年)
「8時だヨ!全員集合」(ポニーキャニオン2004,2005,2008,2010年)


(ブログ「我夢雑報」2010年6月4~26日掲載)


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